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3DCGの最先端でプロフェッショナルたちが高めあうプラットフォーム「CafeGroup」
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3DCGの最先端でプロフェッショナルたちが高めあうプラットフォーム「CafeGroup」(前編)|クリエイターと働き方

3DCGやVFXを用いたアニメーション・映像制作からシステム開発まで手掛けるCafeGroupは、その名の通り「カフェのように」クリエイターが気軽に集まり、化学反応を起こすプラットフォームをめざすクリエイター集団です。グループにはModelingCafeやAnimationCafe、at//c、CELAVIEなど、プロフェッショナルが集う複数の関連会社・ブランドが肩を並べ、互いに刺激を与え合いながら、多岐にわたるエンターテインメント作品の制作に参加しています。社長の岸本浩一さんと3人のクリエイターに、会社の変遷やそれぞれの仕事の魅力について聞きました。

スペシャリスト集団が連携できる仕組みをつくる

岸本浩一(以下、岸本)
グループ名にあるCafeには、気軽にクリエイターが集まって情報交換しながら切磋琢磨できる場にしたいという思いを込めています。僕自身、20代の頃はCGのプロダクションでモデラーをしていましたが、プロジェクトによっては専門外の仕事もしていて、モデリングを全くしなかった年もあった。せっかく専門的な技術をもっているのにこの運用ではもったいないと思っていました。モデリングならモデリング、アニメーターならアニメーターのスペシャリスト集団をつくって、その上で互いに協力し合った方が、クライアントにとってもわかりやすいし、クリエイターも仕事に満足感が生まれるはず。そう考えて2012年にまず立ち上げたのが日本初のCGモデリング専門会社であるModelingCafeでした。つづいて2014年にはアニメーションに特化したAnimationCafeをつくり、いま二つの会社には200名近いクリエイターが所属しています。代官山、高田馬場、福岡、大阪に二社のオフィスがありますが、特に代官山本社はオフィスの空間もオープンなカフェをイメージして、外部の方を招いてミートアップをしたり、集いの場としても活用できるように設計しています。
岸本浩一さん

岸本浩一(きしもと・こういち)さん。ModelingCafeとAnimationCafe、その運営企業CafeGroupの社長。2019年にはバーチャルヒューマンをプロデュースする企業、Awwを設立

「カフェ」に集うスペシャリストたち!

折原舜(以下、折原)
僕はコンセプトアートを制作する社内ブランドat//cに所属しています。もともとはゲーム会社を志望していたのですが、ゲームに限らず映画、CMなど幅広い案件を手掛けられると知ってここを選びました。 企画・構想段階のイメージをイラストで具現化するのが主な仕事です。クライアントの考えをヒアリングして、擦り合わせながらブラッシュアップしていくのですが、最終的な完成形は3DCGでかなりつくり込んだものができます。 皆さんの目に触れる仕事として、イメージしていただきやすいのは例えばダイハツのSUVカー「ROCKY」のCMです。架空の空中都市が背景に描かれていますが、こういったイメージは、まずコンセプトアートで世界観を共有して、そこから映像をつくることが多いです。コンセプトアーティストは作品の方向性を左右する重要な役割。とてもやりがいを感じています。
折原舜(おりはら・しゅん)さん。作品のキービジュアルとなるコンセプトアートを制作するat//c(ModelingCafeの社内ブランド)に所属。入社4年目
ダイハツのSUVカー「ROCKY」のCM。背景の空中都市はat//cで制作したコンセプトアートがベースになっている
長島亜希子(以下、長島)
私はModelingCafeに所属するモデラーで、キャラクターモデリングのチームにいます。デザイナーがつくったラフモデルやリファレンスの画像を参考に、3DCGでキャラクターを制作します。モデリングもさまざまな案件があります。 最近の仕事では、MILLENNIUM PARADEの楽曲「GOLDENWEEK」のMVに登場するキャラクターのモデリングを担当しました。また、バーチャルヒューマンのチームにも入って3年目です。ピンク色の髪の毛が印象的なバーチャルモデルimmaちゃんが着る服をつくったり、メイクをしたりしています。 ModelingCafeにはほかにもゲームチームや映像チーム、あとはリアルな動物系のチームなどもあります。20名前後の編成です。動物系のチームは、最近だと実写版映画『ゴールデンカムイ』のクマやオオカミを手掛けています。自分が所属していないチームとも、新しい技術や映像のルックについてなど、情報交換をすることもあります。私はとにかくいろんなものをたくさんつくってみたかったので、自分の引き出しを増やしていく日々は充実しています。
長島亜希子(ながしま・あきこ)さん。3DCGモデリングを手掛けるModelingCafeで、キャラクターモデリングを担当。空間デザイナーとして5年のキャリアを積んだのちに転職。入社3年目
MILLENNIUM PARADEの楽曲「GOLDENWEEK」のMV 長島さんが所属するチームでキャラクターのモデリングを担当
『ゴールデンカムイ』 VFXメイキング ModelingCafeの別チームでは、実写版映画『ゴールデンカムイ』に登場するクマやオオカミなどのモデリングを担当

さまざまな技術が絡み合い日々進化する、アニメーション制作の現場

松原陸(以下、松原)
僕はセルルックCG(セルアニメ調のCGアニメーション)制作に特化した社内ブランドCELAVIEに所属しています。5年前、ブランドを立ち上げるタイミングで声をかけていただきました。元々モデラーだったのですが、新しいことをやろうとしている岸本さんのスタンスやビジョンに惹かれて入社しました。アニメだけではなく、ゲームやVR、遊園地のアトラクション映像、時には実写映像などもやります。モデリングが必要になったらModelingCafeから人をスーパーバイズしたり、実写のようなエフェクトが必要になった時にはVFXのチームに協力をお願いしたり。2022年公開の映画『すずめの戸締まり』の“ミミズ”のCGパートは、VFXチームや外部の協力を得て制作しましたね。協力しながらなんでもやるので、CafeGroupのなかでは特殊かもしれません。
松原陸(まつばら・りく)さん。セルルックCG制作に特化したCELAVIE(AnimationCafeの社内ブランド)でディレクターを務める。入社5年目
映画『すずめの戸締まり』に登場する“ミミズ”。そのCGパートをCELAVIEで担当
松原

いまアニメーション作品では、一見してもわからないようなところにCG技術が活用されていたりします。例えば、背景の3Dレイアウトという作業は今ほとんどのアニメ作品で行われています。3Dモデリングした仮想空間をベースに、背景画を貼り込んでいくような作業です。そこに、コンテに合わせてカメラを置くのです。
アニメーション制作はどんどんつくり方が進化していて、さまざまな技術が絡み合っています。まだ試行錯誤の段階ですが、今後はAIの活用なども入ってくるでしょう。日々勉強しながら対応していく必要があります。

後編は、2024年9月9日(月)の公開予定です。
プロフィール
CafeGroup

CafeGroupは、ハイクオリティなCG制作を中心に、システム開発や新規事業の立ち上げにも注力しているプロフェッショナルクリエイター集団です。ModelingCafeとAnimationCafeをはじめ、社内ブランドとして「at//c」「Cafe Engineering」「Cafe AI」「CAFE VFX」「CELAVIE」などがあります。さらに、投資事業としてシナジーの高い数十社のCGスタジオや事業会社に投資し、必要に応じて協業もしています。これらの専門性の高いクリエイターや事業会社が連携し、さまざまな作品や事業を通じて新しい価値を創造しています。CG-ARTS協会賛助会員企業。

インタビュー・構成:言問
撮影:栗原 論

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