バーチャルモデルの開発
岸本浩一(以下、岸本)
バーチャルモデルimmaをはじめとするバーチャルヒューマンのプロジェクトは、自社で長年開発してきたフォトリアルな人物を制作する技術をベースに実現しました。 その技術をベースとし、2019年には日本初のバーチャルヒューマンプロデュース会社のAwwを設立しました。InstagramなどのSNSでフォトリアルなCGキャラクターを運用するのはおそらく国内初の試みだったと思います。
長島亜希子(以下、長島)
人物キャラクターを作る時はマーベラスデザイナーという服飾専門のモデリングソフトを使うことが多いです。 実際の服飾を専門とする方達もシミュレーションに使うソフトで、パターンを引くところからCGで行うので、服作りの知識が必要です。本を買って勉強しながら作業しています。 キャラクターのメイクは専用のソフトがあるわけではないので、リファレンスを集めてペンとツールを駆使して色やつや、ラメのキラキラ感などを再現しています。 化粧品の実物を入手して、肌に塗った時のラメの雰囲気を見たりしています。人の眉毛をよく観察するようにもなりました。
バーチャルモデルimma
岸本
ModelingCafe のチームが一番活用していると思いますが、社内には3Dスキャンの設備もあります。テクスチャーのリファレンスを撮ったり、立体物をスキャンして3DCGデータ制作に活用したりできます。自社で設備を持っているところは珍しいかもしれません。
CafeGroup社内に常設の3Dスキャン設備
集いやすいオフライン/オンラインのオフィス
長島
前職が空間デザイナーだったので、他社のオフィスを見て回ることもあったのですが、ここのオフィスは動線が広くて余裕がありますね。デスク間のパーテーションも低めで、デスクから周囲を見渡せるので、他のチームに立ち寄ったり話しかけたりしやすいつくりだなと思います。それもあって交流が活発なのかもしれません。誰がどんなソフトが得意、といった情報を共有し合って、得意な方に技術を教えてもらうこともあります。バーチャルオフィスもあるんですよ。
岸本
バーチャルオフィスは、オンラインでも交流できる場所をと考えてつくりました。それぞれのアバターがいて、社内ブランドやチームごとに空間をカスタマイズ可能です。オフィスらしくつくり込んでいるチームもあれば、それぞれの個室があるチームもあります。 関西や九州など、遠方の方が多いチームもあるので、リモートの環境も整えています。バーチャルオフィスはリモート環境のクリエイターにとってもコミュニケーションの場となっていると思います。
長島
オンラインでもオフラインでも質問したり雑談したりしています。私は社内で自主制作のチームを組んでいるのですが、自主制作をしている方も結構います。その相談を先輩にすることもあります。
折原舜(以下、折原)
人数がさほど多くないのもいいと思います。僕のいるat//cは今7人体制で、一つの案件に2〜3人で入りますが、話しやすいですね。チームの中では僕が1番年下なのですが、気軽になんでも相談できます。
松原陸(以下、松原)
各自が好きなおいしいコーヒーを準備したり、コミュニケーションをとりやすいリラックスした空気があると思います。社内で同じ月生まれの人と集まって、自ら誕生会を主催して祝ってもらったこともありますが、やる側にも受け入れる側にも、気持ちに余裕がないとできないことですよね。
ゆとりのある空間のオフィスには、これまでに携わった作品のポスターが並ぶ
専門性とコミュニケーション力を併せ持つクリエイター像
岸本
CafeGroupは各分野に特化したチームばかりなので、高い専門性が求められるのはもちろんですが、加えてやはり、社名にカフェとある通り、他分野のクリエイターと気軽に交流しながらものづくりのできるコミュニケーション力のある人を求めています。根を詰めて一人で黙々と突き詰めるような作業ももちろんありますが、一方で必要な時には周りと協力することができる。それも大事な能力です。 CG業界は男性が多いイメージがあると思いますが、徐々に女性も増えています。
長島
私が入社したきっかけの一つは、この会社で活躍している女性の先輩が何人もいたことです。 バーチャルヒューマンのチームは男女半々くらいです。キャラクターモデリングのチームは女性が4割くらいでしょうか。男性でもファッションやメイクに詳しい方もいますし、男女関係なくとにかくモデリングが好きで、向上心旺盛な方が多いです。
岸本
僕はここをクリエイター中心の組織にして、世の中にクリエイターをもっともっと増やしていきたいと思っています。SNSで動画を気軽に公開できるようになって、動画をつくって発信している人は爆発的に増えました。彼らを含めるならクリエイター人口はどんどん増えています。何百万人を感動させることも、身近な人を一人感動させることも、価値としては変わらないと思いますし、どちらもクリエイターと呼んでいいと僕は思っています。 今後AIがますます進化していったときに、人にしかできないとは何かが問われる。クリエイターが人に感動を与える、そういう仕事しか残らないんじゃないかと思うのです。これからはクリエイターの時代です。そんな時代の変化に合わせた組織づくりが必要とされています。
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