Top Left
Top Right
Bottom Left
Bottom Right
2025/9/7(日)-9/10(水)

国内最高峰のCG に関する学術研究シンポジウム Visual Computing 2025(VC2025)開催レポート

2025年9月7日(日)~10日(水)早稲田大学にて、コンピュータグラフィックス(CG)および関連分野における国内最高峰の学術研究シンポジウム 「Visual Computing 2025(VC2025)」が開催されました。未来のCG技術の発表の場として、また産学の垣根を超えた技術者、研究者、クリエイター間の交流の場として、 1993年から開催され、今年で33回目を迎えます。
参加者は約480名にのぼり、会場は初日から多くの人でにぎわいました。今年度からCG-ARTSも主催団体のひとつに加わり、運営委員の先生方とともに準備を重ねてきました。今回は、そのVC2025の様子をレポートとしてお届けします。

VCチュートリアル

初日9月7日(日)は、早稲田大学63号館にてVCチュートリアルからスタート! 今回のテーマは「アニメとCGの未来を考える1日 ~産学の現場から学ぶ~」でした。 チュートリアルでは、アニメーションやCG制作に携わる企業の実務者や研究者による講演とパネルディスカッションを通じて、最新技術から制作現場のリアルまで、わかりやすく解説されました。

写真左手から
加藤淳氏(アーチ株式会社/産業技術総合研究所)
四倉達夫氏(株式会社オー・エル・エム・デジタル)
小宮彬広氏(株式会社グラフィニカ)
今村幸也氏(東映アニメーション株式会社)

チュートリアルの締めくくりにはレセプションが開かれ、飲み物を片手に乾杯!

VCスタート!

9月8日(月)~10日(水)早稲田大学国際会議場にて、VCのプログラムが本格的にスタート!
1階の井深大記念ホールでは、口頭発表・招待講演が行われ、3階ではポスター発表が行われました。どちらも多くの参加者でにぎわい、熱心な議論があちこちで展開されました。

井深記念ホールの様子

ポスター会場の様子。熱心に議論を交わす参加者

スポンサー企業ブース

VCには17社の企業がスポンサーとして参加。1階と3階のブースでは、最新技術や制作コンテンツが紹介され、参加者は実際に触ったり質問したりと、会場のあちこちで笑い声や会話が弾んでいました。

ブース巡りのきっかけとして「企業スタンプラリー」も実施され、スタンプを集めた参加者は企業からの素敵な景品と交換!普段なかなか話せない企業の方と直接お話できる、学生、参加者にとって貴重で楽しい交流の時間となりました。

各社の特色あふれる企業ブース

スタンプラリーの景品はスポンサー企業からのご提供です。ご協力ありがとうございました!
受け取った参加者もにっこり

懇親会、レセプション(クイズ大会&パン祭り)

懇親会やレセプションもVCの魅力の一つ!
9月8日(月)の夜にはレセプション(クイズ大会&パン祭り)が開催されました。スポンサー企業がクイズ持ち寄り、工夫が凝らされたクイズに、学生、先生、企業の参加者が真剣に挑戦!全問正解の猛者も現れ、会場は大いに盛り上がりました。

クイズ正解者の皆さん、おめでとうございます!

9月9日(火)の夜は、大隈ガーデンにて懇親会が開催されました。約250名が参加し、立食形式で料理やドリンクを楽しみながら、あちこちで議論や談笑が弾み、会場全体が賑やかな雰囲気に包まれました。

賑わう会場

株式会社ENGI特別講演

筆者は、CG-ARTSの会員企業でもある株式会社ENGIさんの特別講演「TVアニメ「メダリスト」制作スタジオENGIによる実際のハイブリットアニメのパイプライン/ワークフローの現状と展望」を聴講したので、その内容もご紹介します。テクニカルスーパーバイザーの帆苅哲氏と、ラインプロデューサーの萩原恭香氏が登壇されました。
本作は、フィギュアスケートを舞台に友情や努力を描いており、氷上での美しい演技や表情、氷の細かい表現が非常に魅力的です。カメラは後で変更できるよう固定して大判処理したり、作画班が描きやすい環境を整えたりする工夫がされています。セルルックの影も、テクスチャに描き込む、別メッシュを使う、光の当たり方を調整するといった複数の方法を組み合わせ、シーンに応じて最適なやり方が選ばれます。特に氷の表現は、シューズのエッジで削られてできる雪やパウダーをCGだけで作るのは大変で、作画も組み合わせて自然に仕上げているとのこと。キャラクターの表情も同じくCGと作画を組み合わせて、演技中の少女たちの繊細な表情を描き出しています。

今後の課題として「後で直しやすい仕組み」や「2D・3Dデータ整理」が挙げられ、VC参加者にとっても研究のヒントが得られる、学びの多い講演でした。

現場の知恵や工夫、表現へのこだわりに触れ、とても感動しました。

CG-ARTSの関わり

今年から主催団体に加わったCG-ARTSは、運営委員の先生方と連携し、参加者が議論しやすい環境づくりに力を入れました。会場準備やブース運営、交流の場づくりを通して、今後も学術界と産業界をつなぐお手伝いができたら嬉しく思います。

CG-ARTSブースで書籍販売を行いました
存在感をはなつCG-ARTS検定の新キャラクターたち

コーヒーブレイクでの休憩のひととき

毎日おすすめのお菓子が変わるコーヒーブレイクコーナーも参加者に人気で、楽しんでいただけた様子です。また、インスピレーションボードには、お題にあわせてたくさんのコメントが!

表彰式、閉会式

楽しいVCもいよいよ終わり!
表彰式では、若手の発表者の中から今までの業績によって選ばれるVC Young Researcher Award、 各発表の中のうち優秀な発表に贈られる、VC論文賞(1st prizeおよび2nd prize)、VC学生研究賞、VCポスター賞、VC学生ポスター賞、研究奨励賞、学生奨励賞、そしてスポンサー企業から贈られる企業賞が発表されました。
受賞結果はこちらをご確認ください。
https://visualcomputing.jp/vc2025/award/
受賞された皆様、本当におめでとうございます!

VC2025実行委員長の久保尋之先生 (千葉大学)によって、受賞者が発表されました
土橋宜典先生(北海道大学)による、次回開催のご案内

実行委員もご紹介いただきました!

まとめ

VC2025は、研究発表としての学術的価値だけでなく、参加者同士の交流の場としてもとても充実した4日間でした。学生、研究者、企業の垣根を越えて熱心に議論が交わされ、アイデアや繋がりが生まれる、そんな活気ある場になったのではないでしょうか。

CG-ARTSも引き続き、研究者や学生、産業界の皆さまと一緒に歩みを進めてまいります。次回のVCは北海道大学にて、2026年9月7日(月)~9月11日(金)のうち、いずれか3日間で開催予定です。ぜひご予定ください!皆様との再会を楽しみにしております。

VC2025のWebページはこちら

開催概要

日程

2025年9月7日(日)〜10日(水)

会場

チュートリアル:2025年9月7日(日)
早稲田大学 西早稲田キャンパス 63号館 201-202室

本会議:2025年9月8日(月)~9月10日(水)
早稲田大学 国際会議場

※チュートリアルと本会議は会場が異なります。

共催

CG-ARTS(公益財団法人画像情報教育振興協会)
映像情報メディア学会 映像表現&コンピュータグラフィックス研究会
画像電子学会 ビジュアルコンピューティング研究会
情報処理学会 コンピュータグラフィックスとビジュアル情報学研究会
早稲田大学理工学術院

公開日:2025年10月6日

文:宮内 舞
編集:篠原 たかこ 上野 はるか

トップへ戻る

このページのURLをコピーする

このサイトについて

CG-ARTS One

CGや映像、メディアアートなど新しい表現分野のクリエイター、エンジニア、研究者、アーティストなどを目指す方に向けたメディアサイトです。

© 2025 Computer Graphic Arts Society