SNSの使い方
卒業制作『ミルキー☆ハイウェイ』を ご自身のYouTube で2022年に公開されて、当時再生回数600万回にのぼる話題作となり、ショートアニメシリーズ『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』(以下『ミルキー☆サブウェイ』)につながります。『ミルキー☆ハイウェイ』を広めるために宣伝などで工夫されたことはありますか。
もちろん作品をつくったらSNSなどでどんどん宣伝していくことが、これからの時代で重要ではあるんですけど、それはあまり自分の得意なところではなかったりします。作品の完成の少し前にTwitter(現X)に6秒ぐらいのクリップをアップしたら、それが盛り上がって海外からも注目を集めたので驚いて、あわててYouTubeチャンネルなどを立ち上げました。[1]
[1]2026年7月現在で、日本語版904万再生、英語字幕版306万再生。
やっぱり一人でつくる
亀山監督もSNS上での話題ぶりをみた企業からの声掛けで、『ミルキー☆サブウェイ』につながったのでしょうか。
『ミルキー☆ハイウェイ』は一人でつくった作品でしたが、『ミルキー☆サブウェイ』はシリーズになります。より大きな作品をつくるにあたって制作体制はどうされましたか。
『ミルキー☆サブウェイ』2025年7月からTOKYO MXでのテレビ放送に加え、アニメ公式YouTubeでは11言語にて全世界同時配信されました。全12話をつなげて1本の長編にするプランはいつからあったのですか。
『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ 各駅停車劇場行き』予告編
劇場版で掘り下げられたリョーコ
会話へのこだわり
個性豊かなキャラクター同士の自然な会話が大きな魅力になっていますが、どのようにつくっているのでしょうか。
声や会話のニュアンスにこだわりたいし、演者さんの演技に合わせてアニメーションのアイデアを出していく部分があるので、セリフをアニメーションの前に収録するプレスコ[2]を採用しています。特に3Dの場合、声と演技の整合性を取るためには先に声がないと違和感が出やすいんです。
日本のアニメ制作の現場ではアフレコが多いですよね。
おそらく放送のペースが速いためで、タイムパフォーマンスを優先してのことと思います。海外ではプレスコが主流です。国内での例外は高畑勲監督の作品で、いま見ても声の演技が面白い[3]。『ホーホケキョ となりの山田くん』(1999)のナチュラルさとかは強く印象に残っています。
制作の流れで整理すると、まず脚本があって、そこでセリフを中心に練り込むのですね。
80年代とリアリティ
作品の世界観に、80年代のカルチャーの引用が色濃いですね。ヤンキーや歌謡曲への興味はどこからきたのですか。
時間が経っても魅力が感じられるものは、本質的に良いものだと思うんです。流行りのものって 10年後に残るかわかんないんですけど、 もし10年後も残っていたらそれはどの時代に見ても聞いても魅力を感じられるものだろうと。レトロだから好きというよりは時代を超えてその時代のスタイルが残っているものに惹かれます。
今回の作品のモチーフとして80年代を選ばれたというより、そのまま好きなものが反映されているのですね。
たとえば町を歩いていても、あたらしいビルの合間に、昔に建てられたレトロなビルがパッと目に入ったり、街並みに新旧の要素が混在しているのが当たり前のことだったりします。その感覚は、架空の世界に信憑性を込める意味でも役立つんです。 SF だけど、実はリアリズムがすごい大事だと思っています。それがキャラクターに感情移入しやすくなることにもなるので。
創作の動機を忘れない
これから作品をつくりたいクリエイターへのアドバイスをお願いします。
なんで自分自身がそのクリエイションをやろうと思ったのか、初心は絶対忘れないようにしなくちゃいけないと思っています。日々新しいツールが出るし、新しい話題も出てくるし、働き方とかいろんなものが変わっていくなか、目移りすると思うんですけど、芯のところを持っていたいですね。人の価値観、好き嫌いの根幹は変わらないはずです。そもそもなんでこれをやりたかったんだろうと考えると、きっと「自分はこれやっている瞬間が一番楽しいんだ」という自分の価値観に気付けるはず。その気持ちを大事に続けたいと思います。
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