CGという選択
監督はアメリカに留学されていますね。どのようにCGアニメと出合ったのでしょうか。
自分の世界をつくりたい、という気持ちとは相いれなかったのですね。帰国後、2020年に映像系専門学校に入られましたね」。ここでは何を学ばれましたか。
昔のカートゥーンが好きで作画アニメーションに興味があったんですけど、ディズニースタジオをはじめ、当時つくられる長編アニメーションはすでにCGに舵を切っていました。これからアニメをつくるのにCGでの制作は避けられないと思い、CGアニメーター専攻を選びました。
ただ、手描きでアニメがつくれない時代になったということはなくて、インディー規模では手描きで制作してSNSで発表している人は最近増えています。そういう意味では選択ミスしたのかなぁ、と(笑)。
いえいえ。 CG というツールを手にしたことによって、一人でも作品をつくれる可能性を発見されたんですね。
アメリカ、日本でそれぞれ学んで、教育スタイルの違いを感じることはありましたか。
学んだ内容が違うにしろ、教育の役割が「基礎の力」であることは共通して感じています。専門学校では3Dの基礎として多面体の制作やライティングなどの基本的なワークモデリングを通して、体系的な基礎知識を学べました。良し悪しの評価だったり、改善していく方法は学校で先生に聞けてよかったです。ツールはそのあとの選択肢なので、基礎を分かっていることがなにより大切だと思います。 いま自分たちは3DCGソフトのBlenderを使って制作していますが、将来的に新しいツールが出てくる可能性もありますし。
亀山陽平監督
揺らぎと柔らかさ
手描きにも惹かれていたとのことですが、亀山監督の作品の絵はCGにもかかわらず温もりを感じます。
自分で思う「イヤな CG っぽさ」が出ないように心がけています。具体的には、3Dには物と物の境界線がはっきり出すぎる傾向があります。
たとえば人の顔。手描きであれば、口を描くときに口の端だけ線を入れ、口の真ん中には線を入れないことで、唇のような柔らかいもの同士が密に接する雰囲気をつくれます。これはCGでは通常できないのですが、工夫することで境界線がボケるようにしています。
背景も同じ考え方で、いわゆるテクスチャをベイクする[1]やり方をしています。壁にパイプが通っているように見えるけど、そう見える画像を焼き付けている。画像になると、ぼかすなどの描写がしやすくなるんです。しかも映像に描き出すときに軽い。しっかりつくり込むと絵は強くなるかもしれないけれど、若干どこかをごまかしている方が、画面に柔らかさや揺らぎが生まれる。それも自分みたいな小規模制作だから許されるアプローチだと思います。
CGの弱点を補完するお話しでしたが、逆に、CGらしいことが強みになる部分もありますか。
Blender派の理由
制作ツールにされている Blender はどんな特徴があるソフトなのでしょうか。
決定的なのはオープンソースであることです。誰でもアカウントを無料でつくれます。業界のスタンダードは、より高性能なAutodesk社のMaya(マヤ)があります。自分が学生だったころにはできることの差が大きかったのですが、Blenderがバージョンアップしていくにつれて、プロレベルのものがつくれるようになっていると実感しています。いまは大手のCGアニメーション制作会社にも一部採用されはじめていると聞きます。有名なところではスタジオカラーは、Blenderへの移行と導入をいち早く進めています。
もうひとつ大きなのは、アドオンが豊富で利用者同士で助け合っているコミュニティが発達している点です。チュートリアルもいっぱいYoutubeなどに上がっているので勉強しやすいです。
専門学校の卒業制作として『ミルキー☆ハイウェイ』をつくられたのもBlenderだったんですね。
基礎は専門学校で、ツールの使い方はチュートリアルで学びつつ制作しました。それとCGや脚本づくりの参考書も書店で結構買いました。3Dはだいぶニッチな業界なので、大型書店で探したり。学生のときはコロナ禍も重なりあまり人と出歩くこともできなかったので、制作に集中できました。コロナでなかったら遊び回っていましたね。『ミルキー☆ハイウェイ』もできてなかったかも(笑)。
後編は9月28日に公開予定です
3DCGの体系的な基礎知識を学ぶなら
CG-ARTS検定
https://www.cgarts.or.jp/kentei/
実施日 :2026年11月29日(日)
申込期間:2026年9月1日(火)~10月23日(金)
『入門CGデザイン -CG制作の基礎-[第2版]』
https://www.cgarts.or.jp/books_detail/bcc_2/
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作品募集期間:2026年7月1日(水)〜 9月30日(水)17:00(日本時間)