オタワ国際アニメーションフェスティバル
ByTowne Cinemaというレトロな映画館。ここを起点とした複数の会場でさまざまな上映が催される。開会式もこの会場で開催された。
ロビンソン氏による開会式での挨拶。ミニコントのような一コマもあり、映画祭のカジュアルな雰囲気を象徴しているようだった。
多数の交流の機会
映画祭3日目にはThe Animators’ Picnicという大規模な交流イベントが開催されました。映画館などのある市街地からシャトルバスに10分ほど乗り、Strathcona Parkという大きな公園へと移動します。会場には巨大なパラソルが設置されていて、参加者は提供されるサンドイッチや飲みものを片手に、思い思いに交流を図ります。アニメーション作家以外にも、映像関連会社の方やプロデューサー、アニメファンの方、美術学生など、さまざまな立場からアニメーションに関わる人々が集い、にぎわいを見せていました。
このAnimators’ Picnicの他にも、1日目夜に行われたOpening Night Partyや3日目夜のFriday Night Party、最終日のClosing Night Partyなど多くの交流機会が設けられており、世界中から集まった人々とアニメーションを通じてネットワーキングができることは、映画祭の醍醐味であると実感しました。
The Animators’ Picnicの様子。
ピクニックではカボチャのカービングコンテストが同時開催されていて、参加者は思い思いのカボチャを制作。そしてロビンソン氏の要望により、コンテストの審査員をNew NeW支援作家の6名が行うことに!
New Newでの上映と、トークイベントの開催
映画祭2日目と3日目にはOttawa Art GalleryのAlma Duncan Salonという会場にて、New Way, New Worldの上映会を開催。とくに3日目の上映では200名を超える方に来場いただき、大盛況となりました。
また、これはオタワでの上映全てに共通することですが、上映作品に対して観客が示す反応が大きく、会場の空気が生き生きとしていたことが強く印象に残っています。ユーモラスな場面では「大爆笑」と言えるほどよく笑い、悲しいシーンでは「oh…」という悲しげな素直な反応があり、日本での上映と大きな違いを感じます。こうした反応をもらえることは作家の皆さんにとって大きなモチベーションになるようで、大変有意義な上映会となりました。
最終日となる28日には、「The Secret of Japanese Indies」と題し、NeW NeWのトークイベントをArts Court: Theatreにて行いました。ロビンソン氏を司会に迎え、NeW NeWの支援作家6名それぞれのプレゼンテーションと、現在制作中の新作についても語られました。
上映会、そしてトークイベントの終了後には、観客たちがNeW NeWのメンバーへ積極的に声をかける姿が見られました。「あのシーンのここが印象的だった」、「どうやってストーリーを構想しているのか」など作品への感想や質問が述べられ、活発な交流の時間が生まれていました。作品について直接言葉を交わすことは、作家と観客双方にとって、作品への理解が深まる意義深い時間になったのではないでしょうか。
NeW NeWプログラムの上映前挨拶の様子。観客の大きな拍手で迎えられた。
Arts Court: Theatreでのトークイベントの様子。
おわりに
はじめてこの映画祭に参加して強く感じたことは、作家はもちろんのこと、全ての参加者を歓迎してくれるような温かいムードに包まれていたということです。会場には、全ての作家と、作品を、祝福してくれるような空気があり、それはこのような場で作品を発表できる作家たちを羨ましくも思ってしまうほど、感動的な体験となりました。
世界各国から集まった作家や観客との出会いを通じ、アニメーションが国や言葉を越えて人々を結びつけることを実感したとともに、アニメーション文化の発展や新たな才能の発掘、そして作品と人をつなぐ国際的なハブとしての映画祭の重要性を、改めて実感することのできた5日間でした。
授賞式の一コマ。折笠良氏の『落書』がナラティブ短編部門にて最優秀賞を受賞!
近隣の公園にいたカナダグースたち。オタワは美しい街並みと豊かな自然が魅力的な街でした。