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大阪・関西万博:石黒浩テーマ事業プロデューサーが担当するシグネチャーパビリオン 「いのちの未来」レポート

EXPO2025 大阪・関西万博の中心地、シグネチャーパビリオンが並びひときわ目立つ「いのちを未来へ」ゾーン。その一角にそびえ立つ、石黒浩テーマ事業プロデューサーが担当するシグネチャーパビリオン 「いのちの未来」(future of life)は霧に包まれた幻想的な外観で来場者を迎えます。このパビリオンは、未来の “いのち”をテーマにした没入型の展示空間で、訪れる人は50年後のリアルな社会を経て、1000年後の未来へと、時を超えて旅するような没入体験を味わえます。

今回は、そんな石黒パビリオンで体験した“いのちの未来”の旅をレポートします。

「いのちの未来」パビリオンの外観。黒く覆われた外壁には水が流れ、見るたびに表情が変わります。

ZONE1:いのちの歩み

リアルなサル型ロボット「アイアイ」に迎えられて進んだ先にあるのは、「いのちの歩み」をテーマにした導入のゾーンです。ここでは縄文時代の土偶から仏像、そしてアンドロイドまで、日本において時代と共に変化してきたさまざまな“人の形”が並んでいました。時代を超えて並ぶ“人の形”から、私たちがいのちをどのようにとらえてきたか、その感性の変遷を感じ取ることができました。

ZONE2:50年後の未来

このゾーンでは、協賛企業[1] と石黒浩プロデューサーが構想を重ねて生み出した“未来のプロダクト”たちがとある家族のストーリーにそって登場します。これら展示のすべてが、「50年後に実現しているかもしれない」というリアリティがあり、未来の可能性が「遠い空想」から「少し先の現実」へと近づく感覚を味わえました。まさに“未来の生活の断片”を覗き見るような展示です。また、案内役のロボットたち「ペトラ」「プニカ」「パンジー」は、見た目もどこか有機的で、人工物なのに、自然のようなやさしさがありました。まさに “いのち”を感じさせるようなデザインで、近くにいると安心感すらありました。テクノロジーと自然が溶け合っている未来をほんの少し体験できたような気がするとともに、未来の家族が選択するストーリーからは、美しい鑑賞体験とともにいのちの大切さを感じとることができます。
[1] 長谷工コーポレーション、コクヨ、塩野義製薬、シスメックス、全国介護事業者連盟万博コンソーシアム2025、デンソー、阪急阪神ホールディングス

ZONE3:1000年後のいのち「まほろば」

最後のゾーンでは、1000年以上先の未来における“ミレニアムヒューマン”のアンドロイド「モモ」が複数体登場します。ここに足を踏み入れた時、空気感が変わったことを覚えています。その神秘的な姿は、未来の “いのち”そのものを象徴しているかのようで、人間とアンドロイドの境界が曖昧になるどころか、もはや生命の進化を別のかたちで体現しているかのような、圧倒的な存在感を放っていました。

おわりに

シグネチャーパビリオン 「いのちの未来」は、単に最新テクノロジーを見せる場所ではなく、大阪・関西万博のテーマとも見事に合致した、未来との接触を体験する場でした。拡張していく私たちの“いのち”の可能性に希望と怖さ、そんな相反する感情が心に残る不思議な余韻を得られた体験空間でした。

~関連書籍のご紹介~

『いのちの未来 2075 人間はロボットになり、ロボットは人間になる』
日経BP 日本経済新聞出版(2025)
石黒 浩(著)
https://bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/25/03/24/01924/

『アンドロイドはマンションの夢を見るか?』
毎日新聞出版 (2025)
石黒 浩(著)
https://mainichibooks.com/books/science/post-720.html

公開日:2025年5月23日

取材・文・写真:本間大地(CG-ARTS 文化事業部)

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